部下や後輩ができてくると、チームで仕事のパフォーマンスを最大化するために、仕事の割り振りや依頼を適切にしなければいけません。でもそこで、「なぜあの人はこれをやってくれないのか」「なぜあいつは依頼したことをやってくれないのか」と悩む人は非常に多いです。
そもそも「人を思い通りに動かす/コントロールするということは難しい」です。それを頭に入れつつ、「ではどうすれば良いのか」ということを解説していきます。
人をコントロールすることはできない
まず、「単純な命令や指示で人を動かすことはできない」と理解しましょう。人間は複雑な生物です。「単純に指示されると何かムカつく」「本当にコレやる必要あるのか?」「自由に仕事したい」など指示や命令に反発する感情が心の中にあります。みなさんにも心当たりがあると思います。わたしにもあります。
これはあらゆる人にある感情で、思春期に反抗期を迎えない人がほぼいないように、自分の能力や世界観に応じた反抗心を持っています。これを外部から力で押さえつけることは反抗心を増幅させて関係を悪化させるだけです。
さらに、「人をコントロールする」という考えが行き過ぎてしまうと、以下のような弊害が発生する可能性があります。
人が変わらなければ変えようとする考えがパワハラを生む
相手に反抗心があるのにそれを押さえつけようとすると、行動としては「罵倒」や「暴力」につながる恐れがあります。これはあなたが上司や先輩という権力を利用したパワハラと受けられてしまい、最悪なケースとして組織が崩壊したり訴えられたりという結末になります。
人を変えられないことからの無力さを感じてしまう
「なぜ部下を思い通りに動かすことができないんだ…!」という強い想いは、自分の無力感を感じることにつながります。無力感の継続は自分自身のモチベーション低下につながります。そもそも人はコントロールできないと割り切って、その上でどうするか/何ができるかを考えます。
ゴールを共有する
では、ここから具体的に部下や後輩が思い通りに動かないときにどうするか? という対処方法を解説していきます。
何のために部下や後輩を動かしたいのかを深掘りする
命令や指示をすること自体がそもそもの目的ではないはずです。組織として何かを成し遂げるために、部下や後輩にやってほしいことを依頼したいはずです。まずは、その「成し遂げたいこと」をきちんと明らかにします。
目的がハッキリすれば人は行動が明確になる
「組織として成し遂げたいこと」を明らかにしたら、それを部下や後輩にきちんと説明しましょう。人は目的(ゴール)がハッキリわかると、行動や判断に迷いがなくなります。組織の目的を達成するために、その人の役割とミッションを説明して動いてもらいましょう。
その人の未来を提示する
人は未来が見えない状況だと不安・不満を感じます。この不安が大きいと「批判」や「諦め」につながり消極的な行動へとつながります。これをあなたが払拭してあげましょう。
明るい未来で人は前向きになる
未来のイメージはその人に合わせて変えます。スキルアップを目指している人であれば「この仕事はxxのスキルが身につく」、出世を目指しているのであれば「この仕事をすることでマネージャーになるキャリアアップへつながる」という感じです。目の前の仕事がその人の明るい未来につながると感じれば、その人の動きは自然と積極的になります。
ウソや大げさな表現には注意
ここで気をつけなければいけないことは、ウソをつかないことです。ほぼほぼあり得ないのに「この仕事をすれば来年マネージャーにしてやるから!」と期待を持たせ、あとで「ごめん、無理だった」とか「そんなこと言ったっけ」ではあなたの部下からの信頼は失墜し、今後どんな命令や指示も聞いてくれなくなってしまうでしょう。
実現性や言い方には気をつける必要はありますが、命令や指示する仕事がその人の未来をどれぐらい明るくするかということを具体的に説明してあげましょう。
自分がコントロールされる気持ちで行く
これが実は一番簡単で効果のある方法です。「人をコントロールしよう」とするから反抗心を受けて失敗するんです。「オレをどんどん良いように使って!」ぐらいの気持ちで部下や後輩と接します。
人にコントロールされることで結果上手くいく
先に書いたように、人はコントロールされることを基本的に嫌がる傾向にあります。コントロールされるよりコントロールしたい心理を活用します。命令や指示する内容と一緒に、「この仕事を進めるためだったら、オレのことどんどん利用して良いから!」と伝えます。
これにより、「命令された」ということより「上司や先輩を良いように使える」という気持ちが心に残、コントロールされているというマイナスな感情がなくなります。結果的に相談や報告も増え、あなたもそれにアドバイスをしたり一緒に取り組むことができますから、部下にコントロールされながらも組織としては結果が出るようにコントロールすることにつながります。
人にコントロールされたくないというプライドは捨てる
「オレは部下や後輩にコントロールされたくない!」と思う方もでてくるでしょう。ここで一つ思い出してください。あなたは、何のために部下や後輩に命令や指示をしようとしたのですか? 自分自身のプライドを守るためですか?
違うはずです。あなた自身にも仕事で成果を出して出世をしたい/気持ちよく仕事をしたいなど「成し遂げたい目的」があるはずです。そのような未来を獲得できるのであれば、部下や後輩にコントロールされることは大したことではありません。プライドは何の役にも立たず、何の成果も生み出しません。そんなプライドは捨てて部下や後輩と接しましょう。
まとめ
まずは、「人はコントロールできない/人の考えや行動を簡単に変えることはできない」ことを前提に、命令や指示で人を動かすのではなく、目指すゴールや未来のイメージを共有して人を前向きな思考に変えていきます。そして、あなた自身がコントロールされる状況を作り、「部下にコントロールされながらも、組織全体をコントロールする」ことができれば、物事は全て上手くいきますよ!
- 仕事のゴールを共有して判断や行動をより明確にさせる
- 部下や後輩の明るい未来を語り前向きな思考にさせる
- 部下にコントロールされて組織全体をコントロールする状況を作りだす